宝くじが大好きな大学生
「成功すればすべてが報われる」――そんな幻想は、時に私たちの心を深く締めつけます。とりわけ、宝くじで高額当選した人々が感じる孤独感と心理的圧迫は、多くの人が思い描く“夢のような生活”とはかけ離れたものです。
一方、コロナ禍における人々の精神状態を記録した研究によると、意外なことに「抑鬱」は必ずしも悪化していなかったという報告もあります。
「抑鬱」「孤独感」に関して、第一波と第二波の変化を見た結果、孤独感には有意な変化はなかった。抑鬱はむしろ減少していた。その理由の一つは「休息し、リラックスする時間の増加」であった。一方、将来について考えたり、家族関係が悪化したりした人については抑鬱が増加していることが示された。
橋元良明. 新型コロナ禍中の人々の不安・ストレスと抑鬱・孤独感の変化. 情報通信学会誌, 2020
この研究が示すように、抑鬱に影響を与えるのは「外的状況そのもの」ではなく、「それにどう向き合うか」という内面の姿勢です。十分な休息やリラックスの時間があれば、たとえ困難な状況であっても心の均衡を保つことができる。
では、宝くじの高額当選という突然の成功は、心にどんな影響を与えるのでしょうか?
高額当選は一見「成功」の象徴ですが、その裏にあるのは理解者の少なさによる孤独です。
特に、周囲と金銭感覚が乖離していくことで、会話が合わなくなるという現象も起こりやすくなります。
- 「誰に相談すればよいかわからない」
- 信頼できる人にすら話すことができない
- 喜びを共有できる仲間がいない
高額当選者が直面する心理的なプレッシャー
このような孤独は、「周囲の人がわかってくれない」ではなく、「自分ですら、どう感じているのか分からない」という“内なる孤独”にすら発展することがあります。リラックスの時間が抑鬱を軽減させたように、対話やつながりのある環境が、成功者の心を守る鍵となるのかもしれません。
高額当選という現象を、単なる“金銭的ラッキー”としてではなく、「新たな心理的リスクの始まり」として捉える視点は、現代に生きる私たち全員に必要なものです。
夢を叶える前に、心の準備を。
それが、本当に“幸せ”な成功を手に入れるための、第一歩なのです。